2021年 理工学部 シラバス - 電気工学科
設置情報
科目名 | ナノデバイス | ||
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設置学科 | 電気工学科 | 学年 | 4年 |
担当者 | 松田 健一 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | I32N |
クラス | |||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | ナノメートル(1/1000000000メートル)程度の極微細デバイス(=ナノデバイス)では,巨視的な場合とは異なる電気伝導特性や新規現象がみられる.それらを観測・測定する技術や,デバイス加工する技術も同時に発展してきた.本講義では,①典型的なナノデバイスの例を挙げることができる,②ナノデバイス中の特異な電気伝導の例を挙げることができる,③簡単な考察によってナノデバイスの電気伝導特性を説明することができる,ことを目標とする. |
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授業形態及び 授業方法 |
基本的には対面型(ハイブリッド)の講義を実施する予定.ただし,社会情勢によってはオンデマンド型のオンライン講義に切り替える場合がある. 講義に合わせて資料を配布予定. |
履修条件 | 大学初年時程度の数学科目,「物性の基礎」,「半導体デバイスの基礎」,「電気材料」を受講していることが望ましい. |
授業計画
第1回 | 「ナノデバイス」の概略と特徴を,歴史的な経緯や理論的背景を含めて解説する.ナノデバイスの基礎と応用に関する導入として講義する。(オンライン実施) 【事前学習】ナノデバイスに関する最近の動向,社会的なニーズについて事前調査(120分) 【事後学習】ナノデバイスの例や現状についての概略をまとめる(120分) |
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第2回 | ナノメートルスケールの物理現象を理解する上で大切な初等量子力学についての導入を講義する.歴史的な経緯を概観し,「物質波」の概念や「ド・ブロイの関係式」について,教科書の第一章を中心に解説する. 【事前学習】予告のあった箇所の予習(120分) 【事後学習】講義の内容の復習と疑問点の整理.(120分) |
第3回 | 「不確定性関係」について,教科書の第二章を中心に講義する.いくつかの思考実験や,最近の実験例を通して,「量子状態」や「観測」という概念を丁寧に説明し,「不確定性」が単なる測定の不備によるものではないことを理解する. 【事前学習】予告のあった箇所の予習(120分) 【事後学習】講義の内容の復習と疑問点の整理.(120分) |
第4回 | 「波動関数」や「重ね合わせの原理」について,教科書の第三章を中心に講義する.また,測定の結果として得られる物理量と波動関数の関係についての確率的な意味を解説する. 【事前学習】予告のあった箇所の予習(120分) 【事後学習】講義の内容の復習と疑問点の整理.(120分) |
第5回 | 「観測可能な物理量」についての「演算子」について,教科書の第三章を中心に講義する.また,「シュレーディンガー方程式」を学ぶ. 【事前学習】予告のあった箇所の予習(120分) 【事後学習】講義の内容の復習と疑問点の整理.(120分) |
第6回 | 「シュレーディンガー方程式」について,教科書の第三章を中心に講義する.自由粒子など,いくつかの簡単な例を通して,シュレーディンガー方程式の構成について理解し,自ら書き下すことができることを目指す. 【事前学習】予告のあった箇所の予習(120分) 【事後学習】講義の内容の復習と疑問点の整理.(120分) |
第7回 | 「自由粒子」に関する問題を取り上げ,いくつかの具体的な境界条件の場合について,具体的にシュレーディンガー方程式を解くことを講義する.教科書の第五章を中心に講義する. 【事前学習】予告のあった箇所の予習(120分) 【事後学習】講義の内容の復習と疑問点の整理.(120分) |
第8回 | 「調和振動子」に関する量子化を取り上げる.具体的なシュレーディンガー方程式を解く解析的な方法について,数学的な基礎も含めて講義する.教科書の第四章を中心に講義する. 【事前学習】予告のあった箇所の予習(120分) 【事後学習】講義の内容の復習と疑問点の整理.(120分) |
第9回 | 「調和振動子」に関するシュレーディンガー方程式を解く方法について,代数的な方法を紹介する.教科書の第四章を中心に講義する. 【事前学習】予告のあった箇所の予習(120分) 【事後学習】講義の内容の復習と疑問点の整理.(120分) |
第10回 | 「一次元ポテンシャル問題」について講義する.特に階段型ポテンシャルの問題を取り上げ,「反射率」や「透過率」の定義についても講義する.教科書の第六章を中心に講義する. 【事前学習】予告のあった箇所の予習(120分) 【事後学習】講義の内容の復習と疑問点の整理.(120分) |
第11回 | 「一次元ポテンシャル問題」について講義する.特に「トンネル効果」を取り上げ,「反射率」や「透過率」を具体的に計算する.教科書の第五,六章を中心に講義する. 【事前学習】予告のあった箇所の予習(120分) 【事後学習】講義の内容の復習と疑問点の整理.(120分) |
第12回 | 「井戸型ポテンシャル」について講義する.「束縛状態」や「連続状態」についてまなぶ.特に束縛状態の波動関数の偶奇性についても言及する.教科書の第六章を中心に講義する. 【事前学習】予告のあった箇所の予習(120分) 【事後学習】講義の内容の復習と疑問点の整理.(120分) |
第13回 | ナノ構造の代表例としての「量子ドット」について紹介する.量子井戸との類似性を理解し,いくつかの応用例や研究の現状について解説する. 【事前学習】予告のあった箇所の予習(120分) 【事後学習】講義の内容の復習と疑問点の整理.(120分) |
第14回 | ナノ構造の観察と制御技術について講義する.特に走査型トンネル顕微鏡を取り上げ,量子力学の「トンネル効果」との関連性から,その動作原理を理解する.またそれらを用いたナノ構造観察の例について紹介する. 【事前学習】予告のあった箇所の予習(120分) 【事後学習】講義の内容の復習と疑問点の整理.(120分) |
第15回 | 講義全体の振り返りおよびその解説 【事前学習】前回までの講義全体の振り返り(120分) 【事後学習】再度,講義全体の振り返り.(120分) |
その他
教科書 |
原島鮮 『初等量子力学(改訂版)』 裳華房
本講義の「量子力学」を解説する部分で使用予定.
講義の内容に則した資料の配布と参考書の紹介も行う.
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参考書 |
青柳克信、ほか 『基礎からわかるナノデバイス』 コロナ社 2011年
Edward L. Wolf 『ナノ構造の科学とナノテクノロジー』 共立出版 2011年
D. K. フェリー 『ナノデバイスへの量子力学』 シュプリンガー・フェアラーク東京 2006年 第2版
J. J. サクライ 『現代の量子力学』 吉岡書店 2014年 第2版
Franz Schwabl, Quantum Mechanics, Springer, 2010, 4 edition
砂川重信 『量子力学』 岩波書店 1991年
Simon Sze, Ming-Kwei Lee, Semiconductor Devices, Wiley & Sons, 2013, 3 edition
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成績評価の方法 及び基準 |
課題やレポート等の評価をもとに総合的に評価する. |
質問への対応 | メールやポータルのQ&A機能を使う場合は随時質問可. そのほかZOOMを用いたオフィスアワーの設置(時間は都度相談). |
研究室又は 連絡先 |
駿河台校舎タワースコラ 16階,S1615室 TEL : 03-3259-0772 email: matsuda.kenichi@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
火曜 駿河台 16:00 ~ 18:00
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学生への メッセージ |
数式によって理解するのではなく,想像力を逞しくして極微世界のイメージをつかむことを優先してください. |