2021年 理工学部 シラバス - 物質応用化学科
設置情報
科目名 | 高分子材料物性 | ||
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設置学科 | 物質応用化学科 | 学年 | 3年 |
担当者 | 伊掛 浩輝 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 水曜1 水曜2 |
校舎 | 駿河台 | 時間割CD | L31Q L32Q |
クラス | A,B | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 高分子材料の特筆すべき物性は,母材となる分子が大きいことに起因する。このため,材料の基本物性である弾性,粘性,塑性といったすべて性質を示す。この講義では,これらの基本物性について概説し,整理することで高分子材料の特徴がより具体的に理解ができる。また,単元ごとに例題や演習を行い,先の理解を深めるとともに知識の定着をはかることができる。この講義で修得できる内容として,(1) 材料の弾性および粘性についての基礎的な知識。(2) 高分子材料特有の粘弾性体の現象論と分子論。(3) 材料の力学的性質の動的挙動の側面から粘弾性体のエネルギー損失の算出法。これら(1)から(3)の項目を系統的に理解し身に付けることができる。 |
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授業形態及び 授業方法 |
ハイブリッド型授業。対面授業を行うとともに,その授業をメディアを通じてオンデマンド配信する。事前学習として予め授業資料を配信する。各自で予習したうえで授業に臨む必要がある。また,授業後には事後学習として各回に授業まとめの課題を設けてある。授業のふり返りや授業内容の整理に活用すると理解が深まる。課題のフィードバックは,次の回の授業はじめに解答例を示し,解説を加える。要点など解説は全体向けに行われるので,各々のわからない箇所などは個別対応となるオフィスアワー等を利用して積極的に質問すると良い。 |
履修条件 | 基本的な高分子に関する用語,性質などを理解した上で受講すること。基本的な用語や性質は,手早くは高分子関連科目である高分子科学,高分子合成化学,高分子物理化学で学ぶことができるので,それらを履修していることが望ましい。 |
授業計画
第1回 | 「高分子材料物性」についての概説 シラバスおよび授業資料を確認のうえ授業に臨むこと。授業内容に関する動機付けを行う。また,履修にあたっての諸注意,成績評価と基準,問い合わせ先など学習環境に関わる説明を行う。 【事前学習】シラバスおよび授業資料を確認し,わからない箇所をまとめておくこと。(60分) 【事後学習】シラバスに記載されたトピック等を調べる。授業資料を確認し授業に関わる疑問点を明確にするとともに担当者に質問し疑問点を解消する。(120分) |
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第2回 | ガラス転移 ガラス転移,相転移とガラス転移,ガラス転移温度と分子構造・分子量依存性,共重合体のガラス転移温度 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 156頁から163頁,169頁から175頁,授業資料を読み理解できない箇所を明確にする。(120分) 【事後学習】課題を利用して復習するとともに授業で説明された専門用語やトピックを整理する。また,取り扱った数式や単位系についても整理すること。(120分) |
第3回 | 高分子結晶 結晶構造パラメーター,結晶の融解,分子量依存性・共重合体の融点,ガラス転移温度と融点 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 175頁から184頁,授業資料を読み理解できない箇所を明確にする。(120分) 【事後学習】課題を利用して復習するとともに授業で説明された専門用語やトピックを整理する。また,取り扱った数式や単位系についても整理すること。(120分) |
第4回 | 粘弾性体1 粘弾性体とは,固体の弾性 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 184頁から185頁,授業資料を読み理解できない箇所を明確にする。(120分) 【事後学習】課題を利用して復習するとともに授業で説明された専門用語やトピックを整理する。また,取り扱った数式や単位系についても整理すること。(120分) |
第5回 | 粘弾性体2 等方体の弾性率,弾性の原因 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 186頁から190頁,授業資料を読み理解できない箇所を明確にする。(120分) 【事後学習】課題を利用して復習するとともに授業で説明された専門用語やトピックを整理する。また,取り扱った数式や単位系についても整理すること。(120分) |
第6回 | 液体の粘性 ニュートン液体,非ニュートン液体,粘性理論 -Eyringの理論- 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 190頁から197頁,授業資料を読み理解できない箇所を明確にする。(120分) 【事後学習】課題を利用して復習するとともに授業で説明された専門用語やトピックを整理する。また,取り扱った数式や単位系についても整理すること。(120分) |
第7回 | 静的粘弾性1 粘弾性モデル,Maxwellモデル・静的性質,Voigtモデル・静的性質 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 197頁から202頁,授業資料を読み理解できない箇所を明確にする。(120分) 【事後学習】課題を利用して復習するとともに授業で説明された専門用語やトピックを整理する。また,取り扱った数式や単位系についても整理すること。(120分) |
第8回 | 静的粘弾性2 4要素モデル,静的粘弾性一般論,一般的緩和理論・クリープ理論 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 202頁から207頁,授業資料を読み理解できない箇所を明確にする。(120分) 【事後学習】課題を利用して復習するとともに授業で説明された専門用語やトピックを整理する。また,取り扱った数式や単位系についても整理すること。(120分) |
第9回 | 重ね合わせの原理1 Boltzmannの重ね合わせの原理 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 209頁から210頁,授業資料を読み理解できない箇所を明確にする。(120分) 【事後学習】課題を利用して復習するとともに授業で説明された専門用語やトピックを整理する。また,取り扱った数式や単位系についても整理すること。(120分) |
第10回 | 重ね合わせの原理2 時間-温度の重ね合わせの原理,自由体積理論による粘性率の温度依存性 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 210頁から213頁,授業資料を読み理解できない箇所を明確にする。(120分) 【事後学習】課題を利用して復習するとともに授業で説明された専門用語やトピックを整理する。また,取り扱った数式や単位系についても整理すること。(120分) |
第11回 | 動的粘弾性1 動的粘弾性,動的粘弾性の基礎,動的粘弾性における理想弾性体・理想粘性体,Maxwellモデルでの解析例,動的挙動の一般的関係 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 214頁から219頁,授業資料を読み理解できない箇所を明確にする。(120分) 【事後学習】課題を利用して復習するとともに授業で説明された専門用語やトピックを整理する。また,取り扱った数式や単位系についても整理すること。(120分) |
第12回 | 動的粘弾性2 粘弾性体のエネルギー損失,分布関数・粘弾性の分子論,動的粘弾性測定 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 166頁から169頁,213頁から214頁,219頁から221頁,授業資料を読み理解できない箇所を明確にする。(120分) 【事後学習】課題を利用して復習するとともに授業で説明された専門用語やトピックを整理する。また,取り扱った数式や単位系についても整理すること。(120分) |
第13回 | 誘電緩和 物質の電気的性質,誘電緩和,電場下における誘電挙動,貯蔵/損失誘電率の物理的解釈 【事前学習】教科書 5章 固体高分子の基礎特性 226頁から233頁,授業資料を読み理解できない箇所を明確にする。(120分) 【事後学習】課題を利用して復習するとともに授業で説明された専門用語やトピックを整理する。また,取り扱った数式や単位系についても整理すること。(120分) |
第14回 | 授業総括 理解度確認 「高分子材料物性」で学習した内容を総括し理解度を確認する。 【事前学習】これまでの学習内容を課題を中心にふり返る。授業資料を読み理解できない箇所を調べておく。(120分) 【事後学習】模擬テストを利用して復習するとともに模擬テストで取り扱った専門用語やトピックを整理する。同じく取り扱った数式や単位系についても整理すること。(120分) |
第15回 | 理解度 解説および質疑応答 理解度確認 解答と解説,疑問点への補足説明,授業総括-第1回をふり返って- 【事前学習】理解度模擬テストで理解できなかったところを整理する。授業をふり返り質問をまとめる。授業資料を読み理解できな箇所を調べておく。(120分) 【事後学習】模擬テストの解説を聞き解き直しする。わからない箇所を明らかにし質問をまとめる。高分子材料物性や関連事項について調べまとめる。これまでの課題をふり返り,数式の適用条件を含め解法に慣れるように努めること。(180分) |
その他
教科書 |
妹尾学,澤口孝志,清水繁,伊掛浩輝 『基礎 高分子科学 改訂版』 共立出版 2018年 第1版
教科書の5章を中心に学習を進める。高分子の固体物性を概説するとともに,理解を深めるために授業内容に関連する分野についても教科書の他章やそれ以外から,また,学術論文などからも紹介と解説を加える。
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参考書 |
参考書は指定しない。単元に応じて参考図書,文献などを紹介する。並行して,図書館などを大いに利用し,手にとってわかりやすい図書をぜひ見つけてほしい。
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成績評価の方法 及び基準 |
単元ごとに実施する課題 (小テスト) 等で評価する。総合点を100点満点に規格化し,採点とする。 |
質問への対応 | 以下の4つの方法の中から自身にあった質問方法で質問する。 [1] Zoom利用によるオンライン相談 (事前予約制.日時も相談に応じる.友人との参加でも可) [2] CSTポータルII Q&A 機能を利用した質問 [3] メールを利用した質問 [4] 登校日 (面接授業日) の場合,授業中もしくは授業後の質問でも可 アドレス: ikake.hiroki@nihon-u.ac.jp/件名: 高分子材料物性への質問/本文: 所属先,学生番号,氏名を明記。 |
研究室又は 連絡先 |
高分子工学研究室(駿河台校舎2号館1階214室) E-mail: ikake.hiroki@nihon-u.ac.jp/電話: 03-3259-0823(直通) |
オフィスアワー |
火曜 駿河台 13:30 ~ 16:30 Zoom (事前予約制)
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学生への メッセージ |
今日では身近となった高分子材料であるが,その基本的な性質であるはずの力学的性質を理解するだけでも大変険しいものがある。多くの専門用語やいくつもの複雑な数式が紹介されている。この授業では,単元別に基本事項を整理した上で,一歩ずつ理解を深めていきたい。苦手意識を持たずに,まずは授業に参加してほしい。 |