2021年 短期大学部 シラバス - ものづくり・サイエンス総合学科
設置情報
科目名 | 分析化学Ⅰ | ||
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設置学科 | ものづくり・サイエンス総合学科 | 学年 | 1年 |
担当者 | 赤澤 寛行 | 履修期 | 後期 |
単位 | 2 | 曜日時限 | 火曜2 |
校舎 | 船橋 | 時間割CD | E22P |
クラス | |||
ポリシー | ディプロマ・ポリシー【DP】 カリキュラム・ポリシー【CP】 | ||
履修系統図 | 履修系統図の確認 |
概要
学修到達目標 | 物質を構成する成分の種類や含有量を明らかにするため化学分析が行われるが、その理論を追求するのが分析化学である。溶液内の諸反応における化学量論ならびにその平衡についての基礎を学べば、いろいろな状況における溶液の性質が理解できるようになる。 本科目では、溶液の性質を決定する各パラメーター、特に溶液の濃度、pHおよび溶解度積の計算法とその利用を習得すること、同時に有効数字の取り扱いについて理解することを目標とする。下記に個別の目標を示す。 ①Q検定を用いて測定値の棄却を評価できる。 ②市販の酸のモル濃度を有効数字に気を付けて計算することができる。 ③イオン強度を計算することができる。 ④イオン強度を用いてイオンの活量係数を予測することができる。 ⑤平衡定数を用いて、平衡時の各溶液の濃度を計算することができる。 ⑥酸と塩基の組み合わせから反応の方向性を理由を付けて推測することができる。 ⑦強酸、強塩基、弱酸、弱塩基、緩衝液、塩の水溶液などの溶液を、溶液濃度と水素イオン濃度の関係式を適宜選択して最終的にpHを求めることができる。 ⑧多プロトン酸の解離の様子を考慮して解離後の水素イオン濃度を計算することができる。 ⑨沈殿生成反応を溶解度積の値を使用して沈殿生成の成否を推測することができる。 ⑩溶解度積にまつわる基礎的な計算を行うことができる。 科目ナンバリング:MFmAc-208 |
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授業形態及び 授業方法 |
対面での授業を実施する。 ※状況が変化いたしましたので、全講義メディアでの対応になります。 よろしくお願い致します。 授業回の講義内容についてはCSTポータルⅡ上でも公開する。 教科書の記載事項を解説するとともに、より詳しい内容をパワーポイントを中心とした講義を行い、その後、演習を授業中に実施する。 |
履修条件 | 中学校や高等学校等で学ぶ対数や指数を使った数式の計算が必須となるので、 授業が開始される前に復習し理解しておくこと。 関数電卓を使う意志があることが望ましい。 |
授業計画
第1回 | 1.ガイダンス(動画としても設置しておくので各自で確認すること) 〇教科書の紹介と説明 〇出席と成績評価について 【事前学習】(60分) シラバスの記載事項を確認しておくこと。 【事後学習】(60分) 成績評価や日程などを確認しておくこと。 2.溶液の濃度表示法と数値の取り扱い(1)(教科書p.20, p.21, .p.24~p.30) 〇化学量論に基づく計算 〇モル濃度とパーセント濃度など ○数値の丸め方 〇有効数字(加減乗除の計算含む) 【事前学習】(90分) 教科書p.20,21およびp.26~p.30の範囲の内容に目を通しておく。 【事後学習】(90分) 授業内容に関連する復習を行う。例えば下記の様な問題である。 0.013501の有効数字は何桁か解答する。 2.2501を2桁に丸める。 市販の塩酸(密度36.5w/w%)の容量モル濃度, 質量容量パーセント濃度を有効数字3桁で求める。 |
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第2回 | 溶液の濃度表示法と数値の取り扱い(2)(教科書p.17~p.24) ○確定(系統)誤差と不確定(偶然)誤差 〇正確さと精度および測定値の検定(Q検定) 【事前学習】(120分) 教科書p.17~p.24の範囲の内容を学習する。分析結果を示す計算法(標準偏差など)について、あらかじめ目を通しておく。 【事後学習】(120分) 授業内容に関連する復習を行う。例えば下記の様な問題である。 正確さと精度について違いが分かるように説明する。 5つの数値, 2.19, 2.21, 2.17, 2.31, 2.16の測定値について最大値および最小値が棄却できるかどうかQ検定で検定する。 |
第3回 | 沈殿生成平衡(1)(教科書p.168~p.171) 〇溶解度と溶解度積の計算 〇水酸化物および硫化物の沈殿とpHの関係(基礎) 【事前学習】(120分) 教科書の範囲の内容を学習する。特に溶解度積と実際の溶液イオンの濃度の積の比較により、沈殿が生じる、生じない、飽和溶液になる、という判別をできるようになること。 【事後学習】(120分) 授業内容に関連する復習を行う。例えば下記の様な問題である。 塩化銀(AgCl)の溶解度(g/L, mol/L)を計算する。 塩化物イオン濃度が0.00010Mの時, 銀イオン濃度が何M以上で沈殿が生じ始めるか計算する。 3価の鉄イオン, クロムイオン, アルミニウムイオンの水酸化物の沈殿が生じ始める溶液のpHを計算する。 |
第4回 | 沈殿生成平衡(2)(教科書p.32~p.40、p.175~p.185) 〇共通イオン効果 〇沈殿の生成過程(基礎的な内容) 【事前学習】(120分) 教科書の範囲の内容を学習する。コロイドなどの専門・学術用語を書き出しておく。 【事後学習】(120分) 授業内容に関連する復習を行う。例えば下記の様な問題である。 共通イオン効果とは何か、コロイドとは何か、沈殿が生じ始める過程について文章で説明する。(60分) |
第5回 | 平常試験①と解説 試験終了後、模範解答の解説を行い、配点を表示するので各自の得点を採点すること。 試験範囲は、<第一回目~第四回目内容>溶液の濃度の計算, 溶解度積を使った計算などである。 【事前学習】(120分) 平常試験の準備 【事後学習】(120分) 平常試験の復習 |
第6回 | 水溶液と化学平衡(1)(教科書p.32~p.40) 〇溶媒としての水の役割 〇活量と活量係数 【事前学習】(120分) 教科書の範囲の内容について目を通しておく。モル濃度と活量の相違点や専門用語を整理しておく。 【事後学習】(120分) 授業内容に関連する復習を行う。例えば下記の様な問題である。 水の性質を説明する。 活量とは何かを説明する。 |
第7回 | 水溶液と化学平衡(2)(教科書p.40~p.48) 〇デバイーヒュッケルの式とイオン強度 〇ギブズの自由エネルギー変化と化学平衡の位置および反応速度に影響する因子 【事前学習】(120分) 教科書の範囲の内容について目を通しておく。 【事後学習】(120分) 授業内容に関連する復習を行う。例えば下記の様な問題である。 0.02M KCl, 0.05 M K2SO4のイオン強度Iを計算する。 教科書p.41の表3.3を用いて, 上記の陽イオンの活量係数を教科書p.40の式3.12を使用して求める。この時aiを0.3nmとして計算すること。 ル・シャトリエの法則について説明する。 |
第8回 | 酸塩基平衡(1)(教科書p.49~p.59 p.72~75) 〇各種の酸・塩基説 〇解離度 〇強酸と弱酸および強塩基と弱塩基 〇水平化効果 〇pHとは ○モノプロトン酸, 多プロトン酸(ポリプロトン酸)の化学種の分布について 【事前学習】(120分) 教科書の範囲について目を通しておくこと。 【事後学習】(60分) 授業内容に関連する復習を行う。例えば下記の様な問題である。 3種の酸塩基説について, 強酸弱酸、強塩基弱塩基の違い, 酸解離定数(塩基解離定数)について, 多プロトン酸の酸解離定数について, 水平化効果, 水の解離, pHについてまとめる。 0.01Mの酢酸の溶解度を計算する。またその溶解度は0.05Mの酢酸の溶解度の何倍か。 |
第9回 | 酸塩基平衡(2)(教科書p.59~p.63, p.65~p.68) 〇酸塩基反応の予測 〇強酸・強塩基の水素イオン濃度(またはpH)および水酸化物イオンの濃度を求める式 ○弱酸・弱塩基の水素イオン濃度(またはpH)を求める式 〇共役な酸と塩基の混合溶液(緩衝液〉のpH計算式 【事前学習】(120分) 教科書p.63-p.67, p.65~p.68の範囲の内容を読んでおく。 【事後学習】(120分) 授業内容に関連する復習を行う。例えば下記の様な問題である。 それぞれ0.02 Mの塩酸とアンモニア, 酢酸とアンモニアを当量混合した際に起こる反応と反応性について述べよ。また、反応度のそれぞれの成分濃度を求めよ。ただしpKaの値は教科書の付表2の値を使用すること。 0.2Mの塩酸, 0.05Mの水酸化ナトリウム水溶液, 0.1Mの酢酸, 0.01Mのアンモニア水のpHを求めよ |
第10回 | 平常試験②と解説 試験終了後、模範解答の解説を行い、配点を表示するので各自の得点を採点すること。 試験範囲は、<第六回目~第九回目内容>水の性質, デバイーヒュッケルの式とイオン強度, 平衡の位置を決める因子, 酸塩基説, pHの計算(強酸・強塩基, 弱酸・弱塩基, 緩衝液)などである。 【事前学習】(120分) 平常試験の準備 【事後学習】(120分) 平常試験の復習 |
第11回 | 酸塩基平衡(3)(教科書p.63~p.65) ○水素イオン濃度と酸, 塩基の濃度の関係を表す一般式 (物質収支) 〇低濃度の強酸および強塩基のpH起算式 【事前学習】(120分) 教科書の範囲の内容をよく読んでおく。 【事後学習】(120分) 授業内容に関連する復習を行う。例えば下記の様な問題である。 0.0200MのHClのpH, 0.000000200MのHClのpHを計算する。 0.030MのNaOHlのpH, 0.000000300MのNaOHのpHを計算する。 |
第12回 | 酸塩基平衡(4)(教科書p.65~p.72) 〇弱酸の塩および弱塩基の塩のpH計算式 〇二種類の酸または塩基の混合溶液のpH 〇共役でない酸と塩基の混合溶液のpH計算式 〇両性物質のpH計算式 【事前学習】(120分) 教科書の範囲の内容を学習しておく。 【事後学習】(120分) 授業内容に関連する復習を行う。例えば下記の様な問題である。 0.010Mの酢酸ナトリウム水溶液, 0.020Mの塩化アンモニウム水溶液, 0.0010M酢酸+0.10M塩化アンモニウム, 0.10Mの塩化アンモニウム+0.10Mの亜硝酸ナトリウム, 0.10M フタル酸水素カリウム水溶液のpHを計算する。 |
第13回 | 酸塩基平衡(5)(教科書p.70~p.72) 〇多プロトン酸のpH計算式(1)硫酸 1)濃度の濃い硫酸の場合 2)濃度の薄い硫酸の場合 【事前学習】(120分) 教科書の範囲の内容を学習しておく。 【事後学習】(120分) 授業内容に関連する復習を行う。例えば下記の様な問題である。 0.00010M硫酸, 0.10M硫酸のpHを計算する。 |
第14回 | 酸塩基平衡(6)(教科書p.70~p.72) 〇多プロトン酸のpH計算式(2)炭酸 〇多プロトン酸のpH計算式(3)リン酸 〇今までの酸塩基平衡の総復習 【事前学習】(120分) 教科書の内容を学習しておく。 【事後学習】(120分) 授業内容に関連する復習を行う。例えば下記の様な問題である。 0.10Mの炭酸水素ナトリウム水溶液, 0.10Mのリン酸二水素ナトリウム水溶液, 0.10Mのリン酸水素二ナトリウム水溶液のpHを計算する |
第15回 | 平常試験③と解説 試験終了後、模範解答の解説を行い、配点を表示するので各自の得点を採点すること。 試験範囲は、<第十一回目~第十四回目内容>あらゆる酸・塩基水溶液およびその混合溶液のpHの計算などのような計算問題である。 【事前学習】(90分) 平常試験の準備 【事後学習】(90分) 平常試験の復習 |
その他
教科書 |
本水昌二 他 『基礎教育シリーズ「分析化学」(基礎編)』 東京教学社 2016年年 第第5版版
大学で化学を学ぶ学生には必須の科目なので、受講する前に必ず準備しておいてください。
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参考書 |
奥谷忠雄 『基礎教育「分析化学演習」』 東京教学社 2010年 第初版版
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成績評価の方法 及び基準 |
理解度を確認するため、授業時間内にて3回実施する平常試験と学習への取り組み状況で、 成績を評価する。 授業取組状況(30%)、授業課題提出状況(10%)、平常試験(60%) 出席回数が全授業回数の5分の3に満たない場合は評価を行わない。 本授業での”出席”とは”期日までに各授業日の課題を提出した状態”を指し、 期日以降の課題提出は”遅刻”として扱う。未提出は”欠席”とする。 また、評価試験を未受験の場合は成績評価を行わない。 |
質問への対応 | 毎回の授業時間内に(必要であればオンライン会議システムを併用した)質問時間を用意する。 その他連絡先(メールがよい)に学生番号氏名を添えて質問をすること。可能な限り早急に対応する。 |
研究室又は 連絡先 |
船橋校舎8号館835A号室 電話番号:047-469-5294 E-Mail:akazawa.hiroyuki@nihon-u.ac.jp |
オフィスアワー |
火曜 船橋 12:20 ~ 13:20 個別質問対応時間
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学生への メッセージ |
化学を専攻した学生として社会では常識的に理解していると考えられる内容の科目なので、 ここで学ぶことをしっかり身に付けて社会に出て行って欲しいと思います。 【令和2年度成績分布状況】履修者数9名 S:3人(33.33%),A:2人(22.22%),B:3人(33.33%),C:0人(0%),D:1人(11.11%),E:0人 |