応用化学特別講義Ⅳ (L25A)

日本大学理工学部

2021年大学院理工学研究科シラバス - 物質応用化学専攻

設置情報

科目名	応用化学特別講義Ⅳ SDGsと高分子化学
設置学科	物質応用化学専攻	学年	1年
担当者	風間　伸吾	履修期	前期
単位	2	曜日時限	火曜5
校舎	駿河台	時間割CD	L25A
クラス
その他	実務経験のある教員による授業科目

概要

学修到達目標	地球温暖化問題など、社会がサステナブルな発展を遂げるために解決すべき社会課題の解決に高分子化学がどのように貢献しているか、今後どのように貢献できるか、について理解することを目指す。同時に、高分子化学の基礎を身に付け、社会課題の解決のために高分子材料の改良方法を提案する能力を醸成する。
授業形態及び授業方法	スライドを用いる講義を中心に、講師との対話の時間を取り入れる。民間企業と公的研究機関における高分子化学の研究開発の経験をもとに、国連で採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals（SDGs）)」の実現に、高分子化学が貢献している実例を解説する。同時に、高分子化学の基礎を学び、既存の高分子材料を改良する方法を考察する。
準備学習（予習・復習等）の内容・受講のための予備知識	学部で履修した講義については予備知識を有することを前提として講義するが、次週の講義内容の概要を説明し、必要な知識は既習の教科書、参考書で予習することが望ましい。重要な基礎知識は授業中に解説する。

授業計画

第1回	『サステナブルな社会と高分子化学の貢献』開講に当たり、2015年の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals（SDGs）)」の実現に向けた国や企業の取組みについて解説して、SDGsにおける高分子化学の役割についての理解を深める。事前学習：「持続可能な開発目標（SDGs）」の内容と意義を予習する。（２時間）事後学習：SDGsにおける高分子化学の役割を理解して、簡単に説明できるようにする。（2時間）
第2回	『身近な高分子とSDGs』ポリエチレンなどの身近な高分子について化学構造、物性と用途を解説する。SDGsの中から解決したい目標と、身近な高分子からマイポリマーを選び、目標の実現するためのマイポリマーの課題を確認する。以降の授業で、選んだマイポリマーの改良方法を習得する。事前学習：身近なプラスチック製品に使用されている高分子を調べて整理する（２時間）事後学習：選定したマイポリマーの用途、物性を理解して、簡単に説明できるようにする（2時間）
第3回	『住み続けられるまちづくりを（SDGs目標１１）と高分子』街づくりに重要な役割を果たす高分子を勉強する。例えば、水道インフラに用いるポリ塩化ビニル、保温材に用いるポリスチレンの合成と物性を解説する。基礎知識はラジカル重合を勉強する。事前学習：街づくりに用いる高分子を調べて、整理する（２時間）事後学習：街づくりに用いる高分子の物性を理解して、簡単に説明できるようにする（2時間）
第4回	『産業と技術革新の基盤をつくろう（SDGs目標９）と高分子』自動車産業を支える高分子の種類と物性を解説する。加えて、自動車の技術革新の基盤となる新規な高分子を解説する。基礎知識はイオン重合を勉強する。事前学習：産業に用いる高分子を調べて、整理する（２時間）事後学習：産業に用いる高分子の物性を理解して、簡単に説明できるようにする（2時間）
第5回	『安全な水とトイレを世界中に（SDGs目標6）と高分子』安全な水を得るために用いる精密ろ過膜、限外濾過膜などの分離膜に用いる高分子と製膜方法を解説する。合わせて、トイレで使用した水を浄化する技術に用いる分離膜を解説する。基礎知識は、縮重合を勉強する。事前学習：安全な水つくりに必要な高分子を調べて、整理する（２時間）事後学習：安全な水に用いる高分子の物性を理解して、簡単に説明できるようにする（2時間）
第6回	『気候変動に具体的な対策を（SDGs目標１３）と高分子』化石燃料の燃焼で火力発電所等などから排出されるCO2を分離回収する高分子膜について解説する。ここでは、高分子の化学構造、物性とガス分離性能の関係を学ぶ。基礎知識は、分子量を勉強する。事前学習：CO2排出量削減に貢献する高分子を調べて、整理する（２時間）事後学習：CO2排出量削減に貢献する高分子の物性を理解して、簡単に説明できるようにする（2時間）
第7回	『海の豊かさを守ろう（SDGs目標１４）と高分子』マイクロプラスチックなどの海洋プラスチック問題と、その解決に貢献する生分解性プラスチックを解説する。海の恵みである海藻から得られるアルギン酸などの高分子を学ぶ。基礎知識は溶液物性を勉強する。事前学習：海洋プラスチック問題を調べて、整理する（２時間）事後学習：海の豊かさに貢献する高分子を理解して、簡単に説明できるようにする（2時間）
第8回	『つくる責任つかう責任（SDGs目標１２）と高分子』国内で年間に1,000万トンを超えるプラスチックが生産されている。これらプラスチックのリデュース、リユース、リサイクル（３R）について解説する。基礎知識は高分子の構造を勉強する。事前学習：プラスチックごみ問題を調べて、整理する（２時間）事後学習：プラスチックの３Rを理解して、簡単に説明できるようにする（2時間）
第9回	『飢餓をゼロに（SDGs目標２）と高分子』飢餓の解決方法を高分子から考察する。食料の長期保存は飢餓問題の解決にも貢献するので、食糧の包装材料などの高分子の種類と物性を解説する。加えて、食糧生産に用いる高分子について学ぶ。基礎知識として力学特性を勉強する。事前学習：飢餓ゼロに貢献する高分子を調べて、整理する（２時間）事後学習：飢餓ゼロに貢献する高分子の物性を理解して、簡単に説明できるようにする（2時間）
第10回	『すべての人に健康と福祉を（SDGs目標３）と高分子』高分子は医療・福祉の分野で私たちの健康を支えている。医療器具、コンタクトレンズ、福祉用途、衣服の繊維などで用いられる高分子について解説する。基礎知識は熱物性を勉強する。事前学習：健康と福祉に貢献する高分子を調べて、整理する（２時間）事後学習：健康と福祉に貢献する高分子の物性を理解して、簡単に説明できるようにする（2時間）
第11回	『陸の豊かさも守ろう（SDGs目標１５）と高分子』陸上では多くの天然高分子が生産されている。また、農業では多くの合成高分子が使用され、砂漠の緑地化にも高分子が用いられる。これらの高分子について種類と物性を解説する。基礎知識は溶解性を勉強する。事前学習：陸の豊かさに貢献する高分子を調べて、整理する（２時間）事後学習：陸の豊かさに貢献する高分子の物性を理解して、簡単に説明できるようにする（2時間）
第12回	『エネルギーをみんなにそしてクリーンに（SDGs目標７）と高分子』エネルギーは文化的な生活を営むために不可欠である。CO2を排出しない再生可能エネルギーのバイオマス、人工光合成　水素製造などの製造における高分子化学の役割を解説する。基礎知識はレオロジーを勉強する。事前学習：エネルギーに貢献する高分子を調べて、整理する（２時間）事後学習：エネルギー創成に用いる高分子の物性を理解して、簡単に説明できるようにする（2時間）
第13回	『気候変動に具体的な対策を（SDGs目標１３）とカーボンリサイクル』化石燃料に代わり、大気中のCO2から高分子や再生可能な燃料を合成するカーボンリサイクルについて解説する。基礎知識は表面物性を勉強する。事前学習：カーボンリサイクルを調べて、整理する（２時間）事後学習：カーボンリサイクルを理解して、簡単に説明できるようにする（2時間）
第14回	『レポート作成』授業で学んだSDGsに貢献する高分子と、基礎知識で学んだ合成、物性の知識を活かして、マイポリマーの改良方法を考察してレポートを作成する。事前学習：２回から１３回で学んだ高分子と基礎知識を復習しておく（２時間）事後学習：マイポリマーの改良方法を理解して、簡単に説明できるようにする（2時間）
第15回	『総括』作成したレポートを発表して、皆で小討論を行う。講義全体を総括する。事前学習：マイポリマーがどのようにSDGsに貢献するかを説明できるようにしておく（２時間）事後学習：SDGsに貢献するマイポリマーの役割を理解して、説明できるようにする（2時間）

その他

教科書	教科書は特に指定しない。講義に必要な資料がある場合は都度配布等する。
参考資料コメント及び資料（技術論文等）	高分子の基礎知識に関しては、基礎高分子化学（高分子学会編）など SDGsに関しては、国際連合広報センターのHP（日本語）など。 https://www.unic.or.jp/ その他の資料は授業の中で、適宜に紹介する。
成績評価の方法及び基準	出欠を兼ねた毎回の小テスト、およびレポート。評価比率は50%/50%。
質問への対応	授業中の質問を歓迎します。授業中以外の質問は、授業でお知らせする電子メールで受け付けます。
研究室又は連絡先	電子メールアドレス：　kazama@mvc.biglobe.ne.jp
オフィスアワー	火曜駿河台 16:30 ～ 18:30
学生へのメッセージ	社会課題の解決に向けて、高分子を中心に化学がどのように貢献できるかを一緒に考えましょう。

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